2017年9月22日金曜日

ぼくだけの☆アイドル(新堂冬樹/著)

昆虫ショップのアルバイト店員"アキオ"の物語です。
アキオはオタクで妄想癖があります。そして度胸も行動力もないけどわりとまじめなキャラクターに共感を覚えます。


活字で読まされる読者側にはどこから妄想モードに突入したかが判りづらく、いつの間にか放り出されるように錯覚させられる点がとても新鮮でした。


各章につけられたタイトルもマイ・ガールフレンド、ブロークン・マイ・ハート、ダイナマイト・ガールなどヨコモジで、ストーリーを盛り上げるのに一役買ってるように感じました。


目指せ第2の"電車男"だそうですが、ラストは意外な展開に……。



本書ぼくだけの☆アイドル、お薦めです。



気になる評価は・・・★★★☆☆

パズル(山田悠介/著)

名門私立校の精鋭クラス。


 学校中にバラまかれた2000ピースものパズルをみつけだし、48時間以内に完成させろ……。 さもなくば人質となった担任教師の命はない、 またもや突飛な設定で始まった本作品パズルも山田ワールド全開の作品です。


残り時間との戦いや個々の生徒達の人間模様が作品に臨場感と奥行きを与えます。
そして次第に明らかになる真実。


他の山田作品同様、スピード感に溢れて一気に読むことが出来ました。 そして迎えるエンディングも、山田作品特有……です。


気になる評価は・・・★★☆☆☆

2017年9月21日木曜日

送り火(重松 清/著)

筆者初の”アーバンホラー”なのだそうです。


 読んでみるとホラーというよりも、重松氏が家族を描くお話の延長上にあるちょっと不思議な短編集といった感じです。
どのストーリーも感情移入すると辛くなるものばかり……それもシゲマツワールドなのでしょうけれども。


 オススメは本のタイトルにもなっている「送り火」。
 エッセイ集『うちのパパが言うことには』にも同じようなシーンが登場するところから、完全には創作ではないのかなと感じます。


氏が作品で取り上げる題材はどれも、誰もが身近に感じることばかり。でもこの1冊は、ちょっとだけ、ほかとは毛色が違っていたのが印象的でした。


気になる評価は・・・★★★☆☆

口笛吹いて(重松 清/著)

短編が5編、収録されています。

 以前読んだ「送り火」はちょっと趣が変わった内容だっただけに、オーソドックスな重松氏の作品に触れて、なんだかホッとできたというのが正直な感想です。

 強く印象に残っている作品は、「春になれば」。
文章を書くのは難しいです。言葉を巧みに操って、そして紡いで、やさしく響く作品に仕上げているのはプロなのだからでしょうけれど、やっぱり見事。

読了後はなんだか元気になれる作品です。


 気になる評価は・・・★★★☆☆

2017年9月20日水曜日

愛妻日記(重松 清/著)

R指定がついていたとはつゆ知らずにハードカバーの本書を開いてビックリしてしまいました。

重松清氏、初の性愛小説作品集。
他の家族を中心に据えた作品たちが氏の表の顔ならば、本書は”裏シゲマツ”。

他の優しい作品を知らずに本書を手にしてしまったら……
それはそれでアリかも。

 "ゆがんだ情欲を描いた"裏シゲマツの愛妻日記、ご堪能ください。



 気になる評価は・・・★★☆☆☆

さつき断景(重松 清/著)

1995年から2000年まで3人の主人公とその家族を追う物語です。


世紀末にかけては暗い話題が多かったように思います。阪神・淡路大震災やサリン事件、こんなふうにして”99年7の月”を迎えてしまうのかなと考えていたのを思い出してしまいました。


 お話は毎年5月1日に焦点をあてています。
今年2006年も5月はすぐそこ。あなたも本書「さつき断景」を手にあの頃を振り返ってみませんか?



気になる評価は・・・★★☆☆☆

2017年9月18日月曜日

幼な子われらに生まれ(重松 清/著)

最近のレビューをご覧になっていただければお判りのとおり、重松清氏の作品が好きで集中して読んでいます。

主人公と自分を重ねることができる作品が多くて共感が持てるという点が理由のひとつなのですが、この作品は読んでいて「痛み」を感じたような気がします。

プレッシャーに負けそうで吐け口を求めてしまうあたりは、なんだかかなり嫌悪感があります。弱くても土俵際で踏ん張る。そんな意地に期待してしまうのは、自分の弱さにも触れられてしまったからでしょうか?

 多少の環境の違いはあっても、このお話のような場面にはいずれ出くわすことがあるかもしれません。どのような判断を下せば良いのでしょう?予習のつもりで読んでみて欲しい1冊です。



気になる評価は・・・★★★☆☆

カフーを待ちわびて(原田 マハ/著)

面出しで陳列してあった本書の表装の美しさから手にとってみました。


 「嫁にこないか」洒落で絵馬をかけて来た青年。
その絵馬を見て嫁に来てしまう女性。すっとストーリーに導かれるように入り込んでしまい、気がついたら栞をはさむことなく一気に読んでしまいました。


舞台は沖縄にある島です。
すでにこの作品は映画化が決定しています。きっと映像にしたらきれいなんだろうなと思いを馳せるだけでもわくわくしてしまいます。

 当然、詳細は語りません。でもひとつだけ覚えておいてほしいです。カフーを待ちわびてはとても優しい作品です。



気になる評価は・・・★★★★☆

2017年9月17日日曜日

カカシの夏休み(重松 清/著)

カカシの夏休み」「ライオン先生」「未来」と短編が3作収録されています。


表題となっている「カカシの夏休み」も読みごたえあるのですが、他の作品も優劣をつけ難く”はずれなし”です。


個人的には「未来」が好きです。 いじめを扱った作品なのですが誰もが陥る危険性を孕んでいる落とし穴を、臨場感溢れる文章で綴っています。


ニュースなどの報道を何の気なしに聞いたりしますが、他人事が身近になってしまうことはとても恐いこと。 どんなふうにシゲマツワールドが展開するのか?
手にとってあなたが開いてみて下さい。


 気になる評価は・・・★★★☆☆

エイジ(重松 清/著)

どこぞの「少年A 14歳」が報道されたとき、わたしはすでに成人していました。

 エイジを読んで感じたのは、きっと14歳の本人もうまく表現出来ないだろう胸の内を、上手に言葉に置き換えていること。そのリアルさが読むスピードを加速させ、ストーリーにのめり込ませてくれます。

男なら自分の同世代の頃が甦って来るし、女性の視点でも読みごたえのある一冊。
オンタイムで読める今の中学生達がとても羨ましい……。



気になる評価は・・・★★★☆☆

2017年9月14日木曜日

いとしのヒナゴン(重松 清/著)

平成の大合併に揺れる小さな町と、そこに暮らす謎の類人猿”ヒナゴン”にまつわる物語です。

このところ意識して選んでいる重松氏の長編小説です。
 自分がまるで比奈町へ引っ越してきたかのようにゆっくりゆっくり登場する人々の名前と人間関係を覚えた頃、すっかり物語の中へと入り込んでいるのに気がつきました。

そして読み進めていくうちに”ヒナゴン”が本当にいたらいいなと考えるようにもなります。

すったもんだの末にたどりつくラストシーン、思わず泣けてしまいました。


気になる評価は・・・★★★☆☆

なぎさの媚薬(重松 清/著)

セックスの描写が生々しく、以前読んだ愛妻日記を彷佛とさせます。 相違点はひとつ。性描写はメインではなく、媚薬にかかったその後のストーリーに重点が置かれている点です。家族の話や未成年の非行について触れた話、サリン事件を取り上げたもの……。様々な側面を見せてくれる重松清という作家の奥の深さに改めて触れた気がしました。 本書なぎさの媚薬には続編があるようです。またいずれそちらを読了後に改めてレビューします。 気になる評価は・・・★★☆☆☆

2017年9月13日水曜日

夜の朝顔(豊島ミホ/著)

夜の朝顔iconというタイトルに惹かれて手にとりました。

小学生1年・3年、そして6年生の”少女”を描いた連作集です。 ただボーッと生きているだけではなく、時には悩んだり、苛立ったりしながら成長する。そんな姿を綴っています。

作品中で主人公センリの心の中についての細かな描写はされていません。それでも十分、彼女の心の機微が伝わってきます。

大変残念に感じてしまったのは、あとがきで著者自身が「夜の朝顔iconで、こんなことを訴えたかった」と語ってしまっている点。読み終えた読者には、十分伝わっていますから……。

しかし、スッとストーリーに入り込めてしまうのは筆者の力量でしょう。機会があったら他の作品も手にとってみようと思います。


気になる評価は・・・★★☆☆☆

夏休み(中村 航/著)

ブログのアーカイブを整理しなおしていたら同じ筆者の100回泣くことiconが目に止まりました。 あの一面オレンジ色の中で女性を抱き締めていたイラストです。

狂おしいような衝動にかられて手にしたのが、今回読んてみた夏休みicon。こちらは悲しい作品ではなくとても楽しいストーリーです。

もう機会はないだろうけれど、こんな夏休みiconが過ごせるならきっと楽しいだろうなと感じました。

そうそう、余談になりますが100回泣くことiconに負けないくらいこの作品の表紙(ハードカバー)も素敵です。



気になる評価は・・・★★★★☆

2017年9月12日火曜日

I LOVE YOU (伊坂幸太郎 他/著)

日本人で、外国の方との恋愛経験もないので、"I love youicon"なんて…。
手にとった時そんな風に感じたのですが、伊坂幸太郎・石田衣良・市川拓司・中田永一・中村航・本多孝好とそうそうたる作家陣が名を連ねているので、やっぱり読んでみることにしました。

読み手としての経験上、こういったアンソロジーは、どちらかというと”ごった煮”になりがちなのですが、思いのほかすっきりまとまっています。

それでも読了後に考えてみると、設定の善し悪しというか、テンポがあわないというか、やっぱり好みの作品とそうでないものに分かれてしまいました。

個人的なイチオシは「百瀬、こっちを向いて」(中田栄一/著)。いままで中田氏の作品に触れたことがなかったせいでしょうか。とても新鮮に感じました。
装丁もとてもすっきりと素敵な一冊です。今後の読書の指標になるし、手にとってみてよかったです。



気になる評価は・・・★★★☆☆

ナイフ(重松 清/著)

重松清氏の短編集。

いじめを中心とした重めのストーリーが並んでいます。
表題となっている「ナイフicon」も秀逸ですが、今読んだ限りではエビスくんが印象に残りました。


 とてもぶっきらぼう、でもきっと優しいんだろうなと読了後は一番すっきりできる作品かも。


気になる評価は・・・★★★☆☆